実際に労働者が労働に従事している場所を、事業所所在地としています。
ですから、登記上の本店所在地ですとか、
対外的に何らかの理由で形式的に表記している所在地(○○ビル、○○タワー)などで、
現実にその場所で労働に従事している労働者がいない場合には、
労働法令上の事業所所在地とはなりません。
登記上の本店所在地は、中小企業では、代表取締役の自宅、の場合があります。
これが、そのまま、単に住居しているだけで、
社長が毎朝、ここを出発し職場に移動し、他の労働者と共に、そこで業務遂行を行なっている、
という様な時には、その本店所在地は、労働法令上の事業所所在地ではありません。
なぜ、その自宅が、本店所在地になっているのかは、
その会社のケースバイケースですのでここでは触れませんが、
労働法では、労働者を保護する事が大きな目的となりますから、
実態で判断する事となり、実際に労働者が従事している場所を把握し、
その場所で適用を求める事を重視しています。
これは、法令の条文にも、その様に記載があります。
労働者が就業している場所での事業を適用する、と。
そうしますと、登記上も対外的にも、明らかにされていない場所で、
労働法の事業所が存在している事となります。
例えば、事業主がどこかに貸店舗を借り、従業員を雇って、
そこでお店を開けば、そこが事業所所在地となるからです。
その為、労働基準法では、新しい事業所所在地ができた時には、
届け出をしなければならない事となっています。
事業主側の責務となっており、自己申告制なのです。
労働基準監督署で、地域の事業所を全て確認する事は物理的に不可能ですから、
申請主義に頼らざるを得ませんが、どうしても心許ない制度となっている事は、
否ません。