イオン社労士事務所のブログ

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後期高齢者医療制度について

いろいろな方のブログで、
後期高齢者医療制度について批判する内容を、よく見かけます。

多くの場合、保険料負担について、否定的なご意見をお持ちの事が多いようです。
この事は、
1.保険料負担が無かった方からも保険料を求める事
2.年金から保険料を天引きする事
というポイントに集約される内容だと、感じました。

今回は、この2つの点について、ご案内します。

1.保険料負担が無かった方からも保険料を求める事

家族が加入している健康保険などの被用者保険の被扶養者となっていた場合、
後期高齢者ご本人が直接的に保険料を負担する事はありませんでした。
被用者保険における被扶養者とは、
被扶養者本人が年収180万円未満+被保険者(家族)の年収の50%未満である事、
という要件がついています。
つまり、家族によって生計維持されている(法3条7項)方が、対象です。
その為、被扶養者ご本人が保険料負担が無かったとしても、家族が保険料をおさめている、
と見ることができます。
ただし、被用者保険全体で、被扶養者の保険料を賄っている為、
被扶養者がいなくても、その逆に何人いたとしても、保険料は変わりません。
ですから、被扶養者がいる場合には、保険料負担をしなくても加入できる、と感じてしまいがちです。
しかし、実際はそうではなく、被保険者全体で被扶養者分の保険料を賄っています。
被扶養者がいない方は、いる方の分も払っているという形である、と言えます。

後期高齢者医療制度が発足すると、被扶養者となっていた後期高齢者は、被扶養者から脱退します。
そして、後期高齢者医療制度に支払う保険料が発生します。
この保険料は、当初半年間は全額カット、その後半年間は90%カット、とされています。
また、家族(被保険者)が支払っていた保険料は変更がありません。
ですから、後期高齢者の保険料分、負担が増えます。

そして、制度上、このように保険料負担が増加する事になる方は、
「年間収入が180万円未満」であった方たちであるはずです。
この年間収入とは、年金やその他の収入、全て含めた収入です。
この方たちが、支払う事になる保険料は、最高でおおよそ月々2000円くらい、とされています。

上記要件を上回る収入であったにも関わらず、何らかの理由で被扶養者となっていた方達は、
相応の保険料負担が求められます。
この保険料は、市町村区が把握しているその方の全ての収入を基礎として、計算が行なわれます。

2.年金から保険料を天引きする事

それまでは口座振替や窓口納付の方法がとられていました。
ですから、国民健康保険の保険料で所得税還付が発生する場合も有り、
国民の側にとって余計な手間が発生していました。
そして、窓口納付の場合、取扱い機関への手数料負担が発生していました。
また、第3者が介入する事のリスクも存在しました。