イオン社労士事務所のブログ

イオン社労士事務所のブログ

労働契約法4

本日は労働契約法第3章の解説です


第三章 労働契約の継続及び終了

(出向)
第十四条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。


グループ会社などへの出向について、労働契約法上、場合により、出向命令を無効とすると、しています。そもそも、労基法では、「出向」という言葉は出てきません。通達などに使用されるに留まっています。しかし、実態として多く利用されている以上、無視する事はできない存在になってきた証でしょう。ここでは、出向と労働契約との関連において、無効となりうるケースが存在する事を示しています。ただ、実際の個別ケースに関する判断は、労働基準監督署では取り扱わないものになる事と考えます。現在、「出向」は、ほぼ労働者の合意無く命ぜられている事と思われます。それは、あくまでも籍は元の会社のままですし、賃金も同水準に保たれる事が多いためです。そして、ノウハウの蓄積、人員数の調整、という出向理由があがり、つまり、出向がそもそも一時的なものである事が多いからです。ですが、場合により、無効となりうることを明らかにしています。


(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。


懲戒処分について記しています。前条と同じ様に、権利濫用に該当すると、無効としています。懲戒処分については、労基法では、「制裁」という言葉が出てきます。実質的に懲戒処分に当たると思います。しかし、制裁の最大限の範囲を示しただけに留まります。その制裁が無効となりうるケースがあることを示したものではありません。これに対し、労働契約法において初めて、「労働契約法」という言葉を使用し、無効の存在を示した事は画期的です。また、やはりその判断は労働基準監督署は行なわないでしょう。


(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

※この規定は、労働基準法にありました。労働契約法成立に伴い、条文が移動しました。


本日はこれで終わりです。