イオン社労士事務所のブログ

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年金の申請主義である事への強い批判1

年金記録問題に揺れた昨年、いろいろな主張がありましたが、
中でも、申請主義である事への批判が多かったかと思います。

加入者が申請をしないと受給できないから、たくさんの弊害を生み出す結果につながる
という考え方だったと思います。

ここで、私が、申請主義である事への、主張は行ないません。
しかし、申請主義であるという現実から得られる事実を述べてみます。

そもそも、社会保険事務所において、タイムリーに、
加入者のみなさんが、手続きの必要な状態が発生している事を把握できないのです。

引越しされて住所変更の申請が必要だとしても、引越しされたこと自体、
社会保険事務所では把握していません。
よくあるご意見は、市町村役場などで、引越しの手続きをされた事で、
年金記録上も住所変更が出来ているだろう、というものです。
しかし、その様な事はありません。
官公庁が取り扱っている住所データだとしても、市町村役場での住所変更手続き、
社会保険事務所に対しての住所変更手続きは、それぞれに求められる事です。

結婚された場合も全く同様です。
市町村に対して、婚姻届を出して、年金上も相応の手続きが別途必要です。

引越しにしても、結婚にしても、皆さんから申請が行なわなければ
社会保険事務所では、把握する事はできないのです。
逆に、社会保険事務所の方で、全ての加入者の方を定期的にチェックして、
申請が必要な状況かどうかの確認を促す事も、物理的に不可能に近いです。

今後は、年金定期便である程度の解消は行なわれそうです。
しかし、こういった異動事項は、加入者の皆さんが責任を持って行う事が求められています。
異動があって、市町村役場で手続きすれば終わりではなく、年金記録の変更も忘れない事です。
つまり、銀行や生命保険など、民間会社に連絡するのと同じ事と、
認識されると理解しやすいかと思います

次に、年金受給時の申請主義である事に対してですが、
老齢年金については、機械的に年齢で判定し、申請が必要な時期に通知が行なわれています。
通知が届いた後は、その連絡に従い、申請をすることになります。
この点において、通知が来るくらいなので、実際の請求手続きも自動的に行われるべき、
というような主張も有ります。
しかし、年金請求には、社会保険事務所では到底把握できない情報(年収、配偶者の有無など)
が、手続き上必要となります。
この確認の為には、加入者側による申請が行われなければ、対応ができません。

そして、障害・遺族年金などの受給については、
受給要件を満たした事について、やはり、社会保険事務所では把握できない情報です。
加入者側から申請しなければ、手続きできない事はお分かりいただけると思います。