イオン社労士事務所のブログ

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標準報酬月額の改ざん

厚生年金の納付記録の内の標準報酬月額に関する不正記録が明らかにされ、年金記録問題が新たな段階へ移ったと考えられます。
これまで問題とされた、宙に浮いた年金記録、納めたはずの期間が未納扱い、といった問題については、徐々に落ち着きが感じられるようになりました。
ところが、この厚生年金の標準報酬月額の問題については、それらの年金記録問題と同時期に問題提起されていたものの、この時期まで伏せてこられたかのような印象があります。
それだけ、根深い問題だからだといえるでしょう。

問題として、次の2点が浮かびます。
1.社会保険事務所による不正行為への誘導
2.被保険者による記録修正手段の困難性

1.
本来、法令に従ってその制度を適切に運用する事が業務であるはずの行政側が不正行為の主犯である可能性が高い事です。
私は、初めてこの話を伺った時、ありえない話と真に受けていませんでした。しかし、その不正行為の指導を受けた事業主が実際に見えますし、その裏づけとなる証拠まで残っているようです。また、厚生労働省もその方向性で調査を行なっています。
この根本からその信頼性を揺るがすような事態は、大変な問題です。

2.
厚生年金の被保険者は会社から給与を得ており、その際に相応の社会保険料を徴収されています。
しかし、この問題の中で、過去の期間に遡って標準報酬月額の変更を行なったというケースが取り立たされています。実際に支払った保険料に対する標準報酬の記録が行なわれていない可能性があります。このケースを被保険者が気がつくことができる訳がありません。
また、その手段が日常茶飯事となり、特別変わった点の無い時期においても、正確でない標準報酬月額が記録されている場合もあります。
こういったケースを、入社から退社までの長い人なら40年間以上という長期にわたって、月々の記録の確認を行なっていかなくてはなりません。
そして、この確認の行為の長大さに加えて、毎月の記録の正確性をチェックするにもそれなりのコツがあり、労力が発生します。
また、第一に過去の全ての給与記録を保管しているわけが無いのです。
つまり、不正確な記録を確定させる事が非常に困難なのです。

上記のように、厚生年金標準報酬等級改ざんは、非常に根深い問題となります。

わたしは、現在、年金受給者を戸別訪問して、改ざんされた可能性のある人の救済を実施している、との事ですが、これらの方法はどう対応されるのか、興味深いです。
実際に改ざんされていたとして、本来の標準報酬月額を、どのようにして算出するのでしょう?