イオン社労士事務所のブログ

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休業の是非について

休業手当は、使用者の責任で労働者が就業できなかった場合に、その休業期間中、平均賃金の6割の支払いを使用者に求めている内容です。
使用者が労働者に休業手当を支払うことにより、労働者の生活を保護しようとするものです。
これらの内容は、労働基準法26条の内容で、特別に難しいものではないという印象を感じるところです。

イオン社労士事務所では、この平成20年不況にあって、これから、この休業が頻発するのではないかと思っています。
その理由は、近年の解雇に対する厳格化です。
有期契約労働者の契約期間中の契約解消、正社員の解雇は、厳格な対応が求められ、また、社会的に雇用の維持が声高に叫ばれています。

そうすると、受注が減り、売上が落ちた事に対する、企業の対応策は、休業の実施とならざるを得ないのではないかと思います。
休業ならば、雇用の維持は達成できます。そして、通常の場合に比べ、賃金は、4割抑制できます。

この様に、休業が増加しそうな状況に有り、法令の中での休業への規定を確認しますと、あまりにも軽薄過ぎる印象です。
労働基準法第26条『使用者の責めに帰すべき自由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に対しその平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。』

何しろ、労働者にとっては、賃金が4割も減少する自体です。これは一大事に他なりません。
にもかかわらず、現在の法令の内容で現実に適切に対応できるのか、大変心もとないところです。。

一番、気がかりな部分は、そもそも「休業手当」の内容しか規定が無いことです。
では、休業そのものは、使用者の一方的な意思表示のみで可能なのでしょうか?
行政通達では、「工場の経営難から下請工場が資材、資金の獲得ができずに行ない事は休業に該当する」とありました。これは、単なる休業の「定義」でしかありません。
休業の実施自体が問われる事が無いのか、何も定めが有りません。
例えば、上記の例であっても、資材の確保が100%できなかった場合はともかく、30%の場合でも休業してよいのでしょうか?

雇用の打ち切りが難しい現在では、半日休業を行なったり、週1日休業、又は、特定の人だけ休業、といった自体も想定されます。
このような場合に、その休業の是非が問われる事は無いのでしょうか?
※幸い、行政通達により、これらの場合の「休業手当」の対応法は明らかとなっています。

それにしても、業種が多様化している現在において、休業に関する規定が、全然改正されていない事も不思議です。

結論として、実務的には、現在のところ、休業の実施については、比較的緩やかに認められやすい傾向に有ると考える事ができます。
しかし、現実に労働者が受け取る収入は、4割カットという事を踏まえて対応をとらなければなりません。
そこで、労使協定が必要でしょう。
休業の必要性について、使用者は労働者に対し、具体的な現状・今後の見通しの説明など、誠実に対応、理解が得られるよう努力しましょう。
そして、休業の内容について、しっかりとした計画を立て、その制度の詳細を明らかにしましょう。
また、できるだけ、休業の実施について、労働者側の同意をもらいましょう。