イオン社労士事務所のブログ

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通院の限度額認定 その2

入院でない場合の通院による治療費の自己負担分が、事前に手続きを済ませておく事で、
窓口支払い段階で、限度額までで上限となる現物給付化(限度額適用認定制度)が、
利用できるようになる事を昨日に記しました。

例えば、通院による治療費と薬代などで、1ヵ月の窓口負担が10万円以上かかる様な場合、
これが、約8万円程の限度額で済むようになりますので、
とても被保険者にとっては、優しい制度です。

最近では、高額な薬が流通していますので、この様な薬を服用している方には、
大変効果的です。

また、その他の理由で、通院であっても、高額な治療費がかかっている場合には、
大変効果的です。

何しろ、1ヵ月の支払い額が、自己負担限度額までで済むようになるからです。

ところが注意点があります。
この高額療養費の現物給付化の実施は、
どのようなケースでも、完全に全ての被保険者に適用される訳ではありません。

そもそも1カ所の医療機関で1ヵ月の窓口負担額が、限度額を超える場合にしか、
この制度が使えないのです。
ですから、実際には高額療養費の対象者であるものの、今まで通り、
還付方式による手続きを取らざるを得ないケースがあります。

具体的には、1カ所当たり窓口負担が5万円で、1ヵ月の内に2カ所の医療機関で該当した場合には、
1ヵ月合計の窓口負担は10万円ですから、限度額を超えますが、高額療養費の手続きが必要です。
これは、それぞれの医療機関で、限度額を超えない為、現物給付の対象外だからです。
負担額について、各医療機関が連絡を取り、
その被保険者の1ヵ月合計金額の情報を共有する事は行われません。
ですから、今まで通り、還付の対象になる時には、自主的に手続きをする必要があります。

また、ある医療機関で、高額療養費の現物給付の対象になったとします。
そして同じ月に、別の医療機関で5万円かかった場合、こちらも還付の手続きをとらなければなりません。
本来でしたら、別の医療機関の窓口負担は、その全額が還付対象であり、
もし、現物給付が適用されれば、支払いはゼロとなるところですが、
医療機関にとって、他の医療機関での支払い状況は分かりませんから、
通常通りに請求をかける事となります。

この様に、通院の高額療養費の現物給付化は、万全ではありませんので、
あくまでも自己責任で、自身が高額療養費の手続きが必要かどうかは、
確認を行う必要があります。