イオン社労士事務所のブログ

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雇用保険上の離職理由

雇用保険の世界では、離職理由について、「定年」という要素を用いています。

定年とは、法律用語には存在しませんが、一般的には正社員として勤務できる上限年齢、
とされています。

雇用保険制度上も、この一般的な解釈の元に、定年を取り扱っています。
ですから、労働者がこの定年によって、離職する事になるのは、予測できる状況と考えています。
その為、定年によって離職した場合には、自己都合に近い見られ方をされます。

ただ、現在では、高年齢者雇用確保法による継続雇用制度が存在している事が多く、
定年以降であっても、再雇用され契約社員として勤務する事が可能です。
この契約社員になれるかどうかは、
その会社の労使協定で定められた基準に達する事が前提となります。

基準に達しているにも拘らず、自らの意思により、退職を申し出た場合は、
「自己都合」扱いとなります。

基準に達する事ができず離職する場合には、本人が継続雇用される事を希望していたかどうかが、
カギになります。

ところで、この雇用確保措置ですが、制度の導入が義務化されて少し経ちますが、
現実的には、まだ未導入の場合も有る様です。

この場合には、継続雇用の基準に達しか、本人の継続雇用の希望があるのか無いのか、
という点に関わらず、「事業主都合」による離職と判定されます。
これは、事業場の法令違反により離職した、とみなされるからです。
本来なら、継続雇用される可能性があったところ、事業所の労務管理の不備で、
離職を余儀なくされた為、その労働者を保護する必要性がある、と考えての事でしょう。

ただ、ここには、何となく矛盾を感じる気もします。
法令に沿った事業所での離職の方が、雇用保険の給付上、水準が低い、となってしまうからです。