イオン社労士事務所のブログ

イオン社労士事務所のブログ

部下に現場で適法に働いてもらうには

部下をお客様のところで偽造請負にならないようにするためには、その部下に大幅に権限を与えることです。部下が、まるで事業主であるかのような決定権を持っていれば良いのです。事業主であるならば、次のようなことがお客様の元で可能となります。

○仕事の依頼や業務従事の指示を断ることができる○仕事を進める上で具体的な内容や方法の指示をお客様から受けない○進捗状況の報告義務や勤務時間をお客様に管理されていない

これは、1985年に公表されている「労働基準法研究報告」の一部です。これにより労働者か業務委託契約社員かの判断をすることができます。どうですか?事業主のような権限を与えると、いとも容易くこの基準を満たすことができます。

そして同報告では上記判断基準の他にも、まだ二つ見極め要素が示されています。

○代わりの者に業務を行わせることができる○報酬が時間・日・月を単位とする労務ではなく業務の成果に関して支払われる

こちらについては部下を持つ上司(事業主)の視点に立って考えます。事業主は、他にも部下がいれば代わりの者を現場に送ることもできる状態か、という事になりますから、そのように柔軟な事業体制となるよう常日頃検討しましょう。また、お客様との契約は、請負として、この仕事をしたらいくらです、という契約になるようにしなければなりません。

ここまで判断基準が5つありました。これらは、正確には、事業主本人がお客様から業務を受託しているときに、それが請負にあたるかどうか、という判断基準です。しかし、部下を雇うようになり、その事業形態が問題とならないように検討する際、この判断基準を利用すればよいと考えます。

ちなみに5つの判断基準は、全て満たさなければならないとされています。それでも見極めがつかない場合、さらに次の4つがあります。

○お客様が機械・器具の負担をしていない○報酬は機械などを負担する為他の一般社員より高い○報酬に生活給的な要素がない○他の会社の業務を行っても良い

こちらの4つも全て満たす必要がある、とされています。

それでもどうしても、これらの判断基準を満たせないこともケースによっては起こりうります。その場合、派遣業として許可を取るべきです。派遣事業者となってしまえば、部下はお客様のところにいる、お客様のところの一般社員ときわめて近い働き方ができます。少なくとも、派遣業許可を取らない状態のまま事業を続けるより、ずっと自由な事業展開が可能です。