イオン社労士事務所のブログ

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労働契約法② ~3条・4条・5条~

(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。


第3条1項では、労働契約を労使が対等の対場で締結する事を求めています。また、その変更時にも、同様の内容を求めています。
労働者は、使用者から賃金を得る立場ですが、労働という役務を提供しています。使用者から見ても、賃金を払うばかりでなく、役務を受け取っています。その大原則の考えは、当然双方にあるものとし、その契約において、どちらかの力関係が上回る事は、決して無い事を、明文化し、労使に求めています。
2項では、均衡とは、例えば同様の職務に就く者との処遇の違いが、理由の無いまま、大きくならないよう、求めています。現在、非正規雇用者の増加等により、待遇などの差が開きすぎている事があります。その増長を防ぐものです。
3項では、いわゆるワークライフバランスの考え方を取り入れたものです。労働契約において、生活と仕事とを両立できるような、極端な内容とならないよう求めています。
4項では、信義則の原則が記載されました。信義とは、ここでは、その労働契約の内容に当事者が従う事を約束する事かと考えます。その上で、約束した事を果たすよう、労働者は役務の提供を行い賃金を得ること、使用者は賃金を払って役務を得ることを、実行しなければならないことを記しています。
5項では、労使ともに、労働契約を行使する事について、行き過ぎはしてはならないとしています。例えば、使用者による働かせすぎ、は役務の提供を受ける権利を、過大にしたものであれば権利濫用とされ、禁止されています。


 (労働契約の内容の理解の促進)
第四条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び締結し、又は変更した後の労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書面により確認するものとする。


4条1項は、使用者に課せられた行為です。労働契約の内容を労働者がしっかりと理解・認識できるようにするものとする事が求められています。
2項では、前項を踏まえ、労働契約を書面化する努力を求めています。現在でも、労働基準法により、労働条件の通知について、書面交付が義務付けられてます。この労働契約法では、労働契約の書面交付が求められますから、労働条件ではないため、それぞれ別途の内容を記した書面がある事になります。現段階で労働契約法で求められる書面の記載事項は、定かではありませんが、通常、今までは、非常に簡単に、契約開始日と雇用契約であるという記載程度であることが多かったです。セットに用意する労働条件通知書に条件に関する事柄は網羅されており、その必要が無いからです。ここの規定については、今後、解説が行なわれる事かと思います。
ただ、一点、変更時においても、その書面が求められるようです。労働条件通知書は、契約締結時に1度限りが多く、その後は、辞令で新しい処遇を通知するだけの事が多かった為、今後は、今まで以上の駒屋かな労務管理上の対応が求められる事は間違いないと思われます。


 (労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


いわゆる安全配慮義務が明記されました。裁判上では、労働契約本体に自動的に付随する使用者の義務としてメジャーな定義ですが、解雇権の定義と同様にこちらも、条文化されたことになります。なお、解雇権の濫用に当たるかどうかは明確な線引きが難しい為、労働基準監督署では扱いません。安全配慮義務違反に当たるかどうかの判断も同様に労働基準監督署では取り扱わない事と私は考えます。

本日はここまで