イオン社労士事務所のブログ

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中小企業緊急雇用安定助成金に関するQ&A  その4

中小企業の事業主様において、意外と多い質問が、「休業」の定義です。
これまでに、使用者側の責による休業を実施した経験の無い場合が多く、また、そもそも誰からも、「休業」について説明を受けた事の無い事が、質問の多さの原因かと思われます。


Q そもそも休業とは何ですか?

A 所定労働日に労働者が働くことのできない日全般を差します

正確には、労働者が、その事業所において、所定労働日であるにもかかわらず、労働することができない状態を差します。
このような状態は、いくつかのケースが考えられますが、主に、使用者側の要因によるものと、労働者側の要因によるもの、の2系統に分かれます。

中小企業においては、一般的に、労働者側の要因による休業の方がなじみがあるでしょう。
子供を出産した女性の産前産後の休業、年次有給休暇を取得した場合の休業、傷病により就労できない際の休業、などが該当します。

一方、使用者側の要因による休業は、
資金難から資材が入手できず生産を停止する場合
受注先からの注文が途絶え生産停止する場合
市場動向の先行きが悪化し生産調整する場合
などがあげられます。
また、上記は、製造業特有のものになります。
その他の業種では、
来店客が減ったことに対応する場合
競争激化で販売単価が減少し利幅が下がったことに対応する場合
などがあげられます。

このような休業を実施した時、労働者は事業所には出社せず、休みを取る事になります。
現在では、自動車生産業などにおいて、生産調整の為に、「一時帰休」「休業」「操業停止期間」などと呼ばれ実施されていますので、イメージしやすいかと思われます。
また、法令では、休業全般について業種による制限が有りませんので、適正な手続きをとる限り、全業種で休業の実施が可能となっています。

そして、基本的に、これらの使用者側の要因による休業は、
一時的な実施である事が多くなります。
何故なら、休業が長く継続するような状況である場合には、その他の抜本的な対策をとらないと、企業の存続そのもにに関わるからです。

使用者側の要因による休業は、使用者側の責に帰すべき事由に該当することが大半です。
この場合、使用者は労働者に休業手当として、平均賃金の60%以上を支払う必要(労基法26条)が有ります。

例え、労働者全員に休業を実施しても、賃金の60%の負担がかかります。
しかし、使用者にとって通常より40%コスト負担が軽くなるのです。
この負担軽減の効果を充分に活かし、事業の正常再開に戻すことが、使用者側の要因による休業の最大の目的と考えられます。